大分市戸次地方に伝わるだんご汁の作り方を披露する田北調理師専門学校の衛藤孝代校長(右)と受講生
二年間にわたる連載で紹介してきた古里・大分の逸品は七十四に上るが、県民に最も身近な郷土料理と言えばやはりだんご汁だろう。その理由を探るため大分市の田北調理師専門学校を訪ねた。
校長の衛藤孝代さんが作ってくれたのは大分市戸次地方に伝わるだんご汁。いりこだしが基本だが、「具にシイタケを入れることで、おいしさが何倍にも増す」という。
簡単な料理だが、程よいだんごの食感を得るには少々手間がかかる。小麦粉にぬるま湯を加えてこねる際に、サラダ油を少々加えるとこねやすくなるらしい。耳たぶほどの柔らかさになったら、ちぎって延ばし、真ん中から二つに割ってだんごをこしらえる。
ゴボウ、サトイモ、ニンジンなどの具材を入れて煮込んだ汁にだんごを入れ、みそを溶き込んだら出来上がり。仕上げに田ゼリを載せ、旬の味覚と色彩を演出した。
みその香りが漂い、こしのあるだんごにだし汁がからんで実においしい。いろんな具が入っているから栄養も満点。
作り方の基本は県内どの地域も同じ。ただ、だんごを延ばさずに入れたり、小麦粉の代わりに米粉を使うなど、地域によって微妙に違う。
「シイタケやゴボウなど地元に豊富な食材を生かすため考案された料理。シンプルなのにおいしくて元気になるのが一番の魅力。地産地消の原点となる料理です」と衛藤さん。
「戦後の食べ物がない時期はこれが何よりのごちそうだった。だんご汁を上手に作れるようになったら嫁にいける、と言われたものですよ」。調理を手伝ってくれた受講生の川本冨子さん(大分市)は懐かしそうに話す。小野範子さん(別府市)は「昔は農作業の合間にたくさん作っておき、翌日も食べた。煮返しただんご汁は格別です」。
古里の先人が築いてきた豊かな食文化に感謝し、今後も地域自慢の”逸品”を味わっていこうと思う。
「食・味・人~おおいた逸品」は今回で終了します。ご愛読ありがとうございました。