
▲雪景色を眺めながらゆったり気分。夏は新緑、秋は紅葉など四季折々の岩山の美しさ、谷間の素朴な風情が楽しめる
大雪の数日後。耶馬渓へ車を走らせる。道すがら、なぜか野生のサルを思い浮かべた。雪国の山奥の秘湯で気持ちよさそうに湯につかる、あのサルたちだ。目に映る山も森も田んぼもすべて真っ白。こんな日に、あったかな湯に入ればサルたちのように目を細めて極楽気分になれるんだろうな…わくわくしてきた。
今回の目当ては、知人から耳打ちされた”隠れ家的”温泉。まずは中津市耶馬渓町の囲炉裏(いろり)料理の店「傳六(でんろく)庵」へ向かう。うわさの温泉は、この店と、隣接する手作り菓子やつくだ煮の店「へ屋傳六」を利用した人への”おもてなし”だとか。温泉好きのオーナー井上孝親さん(56)が個人で使っていた湯を「独り占めするのはもったいない」と整備して昨年七月に開放。「店からは少し離れてますがあちこち散策してもらうのもいいと思いまして」と井上さん。訪れた人に耶馬渓一帯を楽しんでもらおうとの心配りだ。
というわけで、まずは囲炉裏端で自慢の味に舌鼓。手作り豆腐やサトイモなどの田楽、地鶏や豊後牛の炭火焼きなどでおなかはすっかり満足。あーでもやっぱり温泉に行きたい。心の満足を求めて「イザッ」。
店から車で二十五分。あたりも”裏耶馬渓”になるという玖珠町古後の「かまどケ岩」近くに温泉はあった。源泉は五三度。湯量はとても豊富で、正真正銘の掛け流し。湯殿は桧(ひのき)と岩があり、どちらもひさし付きの”半露天”―などと”守番”の本中ヒロ子さん(70)から話を聞きながら和んでいると、湯上がり客がぞくぞく。
温泉通らしい福岡県北九州市の萩善夫さん(65)とふさ子さん(56)夫妻は「最近巡った中では一番の湯。とてもやわらかい」とべた褒め。同県豊前市の上森智義さん(53)は「しんから温まる感じ。上がりたくなかったよ」。妻栄子さん(52)は「買い物をしたら思いがけずに温泉。お年玉をもらったみたい」とにっこり。
北九州市の中本菜月ちゃん(4っ)がほおを赤くして出てきた。パパの繁幸さん(33)は「今日はきっとぐっすり寝ますね」。
一人になり、貸し切り状態の岩風呂へ。冷えた手足をじんわり伸ばす。さらっとしてるのにまろやかな湯触り。湯煙の向こうの雪景色を眺めていると自然と目が細くなる…期待通りの極楽。サルには秘密だな。
泉質は単純温泉。神経痛、筋肉痛、五十肩、疲労回復などに効く。入浴は「傳六庵」で食事をした人か、「へ屋傳六」を利用した人(1人2000円以上、小学生以下はOK)だけで、当日限り。入浴時間は午前10時から午後5時まで(夏場は午後6時まで)。問い合わせは「へ屋傳六」本店(TEL0979・27・8855)。
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温泉天国・大分。名湯、秘湯もたくさん。相変わらずの温泉ブームで、県内各地の温泉はにぎわいをみせています。温泉の楽しみの一つは見知らぬ 人との湯を介しての触れ合い。温泉好きの記者が各地の温泉を訪ね歩き、いろんな人と触れ合いながら、入湯体験をリポートします。
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